スコール/なまねこ
あの信号はあたまが悪いの、
と、きみがあんまりにも言うから、
夏からずっと彼はみどりいろのランプをつけたままだ
熱帯の植物みたいな色をした派手なランプの光が、冬の真夜中に開け放たれている
彼にもプライドがあるのに
熱帯の植物みたいな色の、ぎらぎらするプライドがあるのに
手袋も持たずに彼が立っているから、
わたしも手袋を持たないで、バイクに乗る
アクセルグリップはつめたいゴムで、
ブレーキのにぎりは氷でできている
ステンレスのキーシリンダーにはよつゆがたまっているから、彼も今濡れているのだろう
おおつぶのスコールを思い出しながら、よつゆにかじかんでいるのだろう
わたしがく
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