兄貴への手紙/アマメ庵
貴。
兄貴が最後に呉れた皮ジャンバーは、大切にハンガーにかけて仕舞ってあります。
このジャンバーが、俺が浜に居た唯一の記憶です。
時々、出して見ては、根岸線のガードを思い出します。
どうした訳か、俺には少し大きすぎるみたいです。
兄貴は俺よりタッパが低かったはずですが、俺はまだ兄貴のような大きな人間になれていないと言うことだとおもっています。
兄貴。
余計なことを書いちまったみたいです。
島の夜は長いので、余計なことを考えてしまうのです。
兄貴がみたら、「ボヤっとすんな」って、ぶん殴られるかも知れません。
また、余計なことでした。
兄貴。
来年になったら、また焼酎を送ります。
どうか達者で、暇があれば島にも遊びに来てください。
皆なにも宜しくお伝えください。
飯塚雅之様
中島大介
戻る 編 削 Point(1)