兄貴への手紙/アマメ庵
 
兄貴への手紙

兄貴。
ご無沙汰しました。
そっちの皆なは、達者にしているでしょうか。
組に迷惑をかけた末、浜を去って、人を心配する筋合いでもねぇのかも知れませんが、家族と思って過ごした皆なをいつも心配しています。
俺もいろいろ落ちつかなくて、長い間のご無沙汰で、本当に済まなく思っています。

兄貴。
俺が、事件のあと浜を去ることを決め、兄貴と伊勢崎町を呑みまわったあの秋から、もう二年と少しになります。
俺は、浜を離れてから、鹿児島県のある離島に流れ着きました。
島の人は皆な親切で、逸れ者の俺を受け入れて呉れました。
畑の手伝いをしたり、大工の真似事をしたりで、小遣いを貰っ
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