いついつの日/15フィールズ
 
闇のなかに消えた淡いブルーを思い出しながら家路につく
時計の針が最後に触れた数字を覚えてはいない
もちろんぼくが最後に触れた数字も覚えてなんかいない
川をまたぐ橋(バカみたいな表現だ)を渡るときに当然のように孤独に思い当たった
風を受けて声にならなかった悲鳴が橋から聞こえる
錆び付いた鉄の匂いがしなかった
ぼくはこどくだ
優しく風が吹く
橋を渡りきると漆黒の輪郭を際立たせる薄暗い照明
明滅の手掛かりを失ったのかひっそりと点在する橙
ぽつりぽつりと行き交う顔のない人
見えないのは当たり前だ
ぼくは忘れるように歩いた
足元で何の数字がうごめいているのだろうか

とりとめ
[次のページ]
戻る   Point(2)