Like a rolling story/木屋 亞万
 
マイタケはビラビラと
エリンギは太くて長い
シメジから精子の匂い
すべて炙ってしまおう
煙はもくもくと天まで
汁が垂れては蒸発する

腐りかけた鶏肉の蛋白
腐臭の向こうに精液臭
この鼻は精液に敏感で
焼けば忘れてしまうが
包丁をいれる時にだけ
指が肉に触れることが
苦痛でしかたないのだ

この世のありとあらゆる生物が
殖えることによって現在まで
生き延びているのだとしたら
それはとても尊いことである
しかし同時にとても醜いことでもある
生への執着を捨ててしまった生物は
もはやただの物であるのだが
私は物のほうが生物よりはるかに美しいと思うのだ

生命
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