言い換え/井岡護
よりずっと前に
白い平面はその顔の上に分厚く転写されていた
(道は壁へと一瞬にして経過したのだ)
四肢は歩くことも容易いほどに形作られ白さは目の前の者へと取り戻される
前進や滑り込みは
泡を吹きのたうち回る包丁に触られたようにばっさりと断ち切られる
(大切なことは老い
歌は発声により生ずるものとして再定義される)
以上の事柄が何によって起こるのかは誰にでもわかることであろうが
以上の事柄が何によって起きたのかは誰にもわからない
戻るというわけだ立派な四肢を持つ登攀の達人に
誰もが誰もかもが
そう
目の前の石膏を見ながら人は訝しげに思うにちがいない
成功であることが大切な
それとは何か
と
何回もそうであった
色の良くない空には
(もう一度という文面が消える事は無い日のようである)
一つの中にどれだけの砂が占めていたと
優しい指であったと
何度でも私は映し出されたそれらに問うのだろう
それは多くの島嶼であったと語るのだ
(算定の膜を絡めます)
土へと落ちぬ片腕を反対に裏切る氷に
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