逃げる月の速度/瑠王
 
ひかりの反射を免れて曇り空の跡
つめたい水を浴びて閉じてゆく肌と
つめたい川に隔てられた母子
幾度も破かれては繰り返す眠りのうちに
再生されてゆく喉

結末の骨より吹きすさぶ逃げる月の速度

終わりが近づくほどに定められてゆく距離は
反比例であり比例でもあり
追えば追うほどに遠く、されどひかりは悲しいほど届く
二度と、二度とを繰り返し
罠にかかって血をなめる
虎の涙は誰のもの
虎の涙は虎のもの
結末の骨より吹きすさぶ駆ける脚の衰え
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