無題/舞狐
 
とん
と背中を押された

ためらっていた足が
転ばないよう
身体を支えるように一歩


また一歩



歩き始めた赤ん坊のように

ぎこちなく踏み出した足と心


このまま進もう

とにかく進もう



背中を押してくれた人に感謝しながら

しかし振り返らず
歩いてみよう


きっと彼女も歩いているはずだから
あの丘をこえたら

お礼を言おう



今は ただ歩みを止めず
歩き続けよう



戻る   Point(8)