君と戦車/真島正人
{引用=
君は遅れてやってきたんだね
背中に大きな月を背負って
いい匂いがするな
樫の匂いだ
子供のころから
これを嗅ぎたかったな
鋭い爪で
僕の肌を刺したら
波みたいに後悔しようね
ゆっくり
ゆっくりと
君は子供だから
君の好きだった戦車が
今は君に砲台を向けているね
大きな
大きな
とても怖いね
君が悪いんだよ
でもいいんだ僕は
誰だって同じだから
君の白いシャツが破けているよ
ほら
はじのほうさ
そんな些細なことと
何も変わらない気持ち
君は遅れてやってきたんだね
洗ったばかりのスニーカーと
花の模様の
カチューシャ
君
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