焼けた海/北村 守通
 
抉り取られた砂浜に
未だそびえる
防波堤に
今日も砂は積もり行く

  すっかり
  潮の流れは変わってしまった
  すっかり
  海は
  遠くに行ってしまった

澄みすぎた
潮の下には
すっかりと
焼けてしまった
白い肌
四メートルほどの
その底に
かろうじて
小さな
紫ウニが
一つ二つ

  東京の空でも
  こんなに寂しくはなかった
  東京の空でも
  こんなに
  遠くはなかった

澄み切った
空の下に
群がるものは居ない
澄み切った
潮の下に
漂うものは
もう居ない
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