魚屋/
小川 葉
魚屋にいくと
魚屋さんが魚になっていた
わたしは予測していた
いつかこんな日がくることを
だって
こんなにたくさんの死んだ魚を
毎日店にならべることができるのは
きっと魚しかいないから
魚だからわかる
その死を
命をすてなければならなかった
その意味を
わたしは魚になろうとしていた
しかし、ふと気がついた
魚屋さんが
エラ呼吸をしていない
見抜くことができたのは
わたしが人だから
見抜けなかったものばかりが
毎日店にならんでいく
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