ファンタジック/宮野
 
テルカラー
またたく星とチェシャ猫の口みたいな三日月
甘いチョコレートが大好きで
ふんわりと風になびくスカートはまだ
ただの少女だった



キスをするたびに実体ができる
だんだんと浮遊もしなくなって
その足には高いヒールのついたきれいな靴
コツコツと音を鳴らせば
ウェーブのかかった髪が靡いて
瞬きをするたびに星が弾ける
そんな

宝石箱みたいなからだ
発すことばも吐息もすべて
宝石みたいにきらきらしている

あのころの少女は消えて



すべてが嘘であったときに戻りたい
やたら宇宙になりたがったり
おとぎ話が現実であったときの
淡くゆがんだ嘘になりたい

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