堅く編まれたお下げの編み目/オイタル
堅く編まれたお下げの編み目
その幾条の行方を見澄ます幼いぼくの肩越しに
さびしいぼくをくすりと笑う
ぼくと誰某と
そうか
こんなにもはやく陽は動いて
窓の下に深い沼をつくっていくんだ
汚れた足首までぬらしていたぬるい陽射しは
もういつのまに
つま先に届かない高さで
ぼくらは詰襟に黒いランドセルを背負い
窮屈に薄日の中を歩いていく
終わりのない宿題を
かすれる春の色彩で覆っていく
鳴り止まない耳鳴り
春の鐘
おはようもいわず
おやすみにも答えず
黒板を這う無数の苛立ちに
むずがゆいロマンを待ちながら
窓の下の増えていく翳に身を沈めて
ぼくは待っている
なんてはやい
さよならの明るい朝
戻る 編 削 Point(3)