ジェット気流に逆らって飛べ/
瀬崎 虎彦
恋人よ
その手のひらでジェット気流に逆らって飛べ
付加逆性の権化である時間を
乗り越える唯ひとつの方法
苦しみも悲しみも
スピードには敵わず
振り落されていく
まぶしい太陽が頭上に輝くころ
君は眠りに吸い込まれる
韻文劇の淵で
寝返りを打つ
隣接した
分離した
滞空した
未来に今接続した
声を
体温を
未練を
確執を
すべて奪っていく時間を
さらに乗り越えてゆけ
恋人よ
その手のひらでジェット気流に逆らって飛べ
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