黄味の心/麻生ゆり
炭酸水の海の中
身体全体から気泡が発生する
それはまるで
私が溶けていくかのようだ
お酢に入れた卵の殻が
いつの間にか無くなってしまうように
私の身体も人魚姫の最期のごとく
あとくされなく泡となり消えてしまって
黄味の心だけが炭酸水に残る
だけど私はそれでかまわない
残った私の心はどんな色をしているかしら?
炭酸水に浮かぶかしら沈むかしら?
温かい? それとも冷たい?
形は? 色は?
私がこれだけ心にこだわるのは
己の美しさ
汚さ
強さ
弱さ
しなやかさ
儚さ
その他諸々の感情を
分析してみ
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