ショートレビュー・サンデー+++待ちかねる、その日に/ことこ
 
都会は確かに、「点描で溢れる/モザイクの町」でしょう。人も建物もあふれているのに、孤立している。たとえば、マンションの隣の住人の名さえ知らない、というのも決して珍しくはないですね。
 点と線のモチーフが繰り返し語られている本作ですが、おもしろいなと思ったのは三連目、「指折って/数えられるものを数え(中略)また一から数えなおし/数えていたものを忘れる」の部分。個々の孤立する数字を、星座を結ぶように、指折り数えるという行為が、「名づける、という行為」と重ね合わされているというのが、大昔から脈々と続いてきた人間の営み、とかを思い起こしますね。
 あくまでも「僕」という個人を語りながら、その過去から受け継がれてきたもの、そして未来へと受け継がれていくもの、という線を見据える、幾層にも重ねられた点と線の関係が、うまいなと思います。

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