レンガ/イシダユーリ
まま
死んだとき
足元をみて
空をみて
すばらしいことだった
手をつかって
空気を
ゆらしたんだからね
だれもが
また
足元をみて
今日
すれちがった
ひとの顔を
おもいだす
肩から
新鮮な体液が
ふきだして
彼らを汚した
彼らの
視線が
わたしの
靴を焼いた
そうやって
駄目じゃないか
いっこうに
拒否がなおらない
どうか
わたしいがいのものが
のこりますように
わたしから
わたしいがいのものが
ふきだしますように
電車に乗るのも
目の前にある
背広を睨みつけるのも
ただ
すみませんと
言ってみるのも
みな
生きてい
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