だれもしらない/
古月
ぼくがいて
黒い海に敷き詰められた
いちめんのひかりの
眩しさに目をそらす
あなたの瞳にも
海があって
空があって
足跡のない
ふたりがいる
さよなら
きみはあなたに
ぼくはわたしに
さよなら
ふたり
ここで出会って
もう
ここから
どこへもいけない
だれもしらない
六月の日に
だれもいなくなった
ただそれだけで
頬を濡らすひとしずくの
涙が滲んで溢れそうになる
おきざりのままの
きみとぼくが
いつかのように微笑んでいる
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