だれもしらない/古月
 
六月の陽が射して
雲を払い
風は流れて
雨が上がる

濡れたままの
あなたとわたしは
ひとりと
ひとりで
ふたりだった


ふたつ並んだ足跡を
ひとつひとつ消しながら
終わらない思い出話を
続けていると
思い出せることも
思い出せないことも
あったことも
なかったことも
すべてが
ほんとうのことになっていく

そんな幸せがあってもいいと
ふたり
いまさら気がついて
すこし悲しくなって
また
ふたり
小さく笑う
ほんとうのこと
みんな
うそならよかったのに


歩き疲れてたどりついた
小さな浜辺には
いつか忘れた
きみとぼく
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