ほめられて/朧月
 
なにをやってるんだって言われるよりも
よくできたねって言われるほうに
どきりとするようになった

ほめられていいものだろうかと思うなんて
自分ではうまくやれたって思っても
すんなり認められないもんだね

じょうずにかけたとほめられた絵を
教室に飾ってもらって小鼻をふくらませた
あの頃の私なら きっと
ちゃんと笑えたと思う

人の言葉の裏を見ようとしてしまう
人のしぐさの理由を探そうとしてしまう

目があった小さな子供の
そらさない瞳に吸い込まれて
あの日の公園に放り出された
そうだ ブランコもあったね

順番こっそり待ってた
次こそ乗れるって期待しながら
割り込まれたってなにも言えずに
別にってかけてった自分を見つける

ほめてくれてありがとうって言えなくて
やり場の無い手をぶらつかせて
相手がだした手の平を
また どきりとしながらそっと握った


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