温度/真島正人
 
とき
鳥たちは自分たちで
思案する
この麦畑の
隠し事は
俺たち以外の誰が暴くのだろうかと
限られた時間の中で
考えられるだけ考えそして
彼らは垂直に移動する
冬の季節へと
羽根を
気にしながら

地上では
幾億もの案山子が
呆然と立っている
彼らも何かを思案している
脳のない頭で
麦の穂の香りにむせ返りながら

青銅は
錆びていて
冷たいけれども
だから僕は思い出す
人の秘められた
温度

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