水たまりには世界が写っている/あ。
 
朝一番に窓を開けると真っ白に吹雪いていた
時が流れるにつれて徐々に雨へと変化して
暮れる頃にはそれさえもあがっていた


駅の改札を抜けて家路につく
空には呑気に星がちらついていて
コートの袖口に結晶が舞い降りたことなど
たった半日ほど前のことなのに嘘のようで


でこぼことしたアスファルト道のすき間に
申し訳程度の水たまりが見える
すぐには気が付かないほどの大きさで
良くも悪くも存在を消してしまっていて
そのくせじっくりと覗き込んでみれば
ちゃんと星を写し取っている


流星群を見に行こうと思い立って車を飛ばして
ひと気の少ない琵琶湖へ行ったのは去年の夏
[次のページ]
戻る   Point(25)