生きる/攝津正
ている。取引は無いが。それは攝津自身に信用、信頼が無いからだと自省した。
攝津はその日も八時間倉庫で働いて帰って来た。電車の中で、妹尾美里を二枚続けて聴きながら三島由紀夫の『禁色』を全集版(第三巻)で二百七十四頁迄読み進めるが、自分の根気強さに感心し三島の小説作法の巧さに感嘆する。攝津は、好きな小説家は芥川や三島なのに、自分が書く物は対蹠的なのを自ら不思議がった。●●子さんが批評したように、小説というより生活の記録である。嘘が書けぬというのは小説家としては致命的である。
ところで、攝津は戯れに、レインボーリングとワットとゲゼル研究会に再入会を申し込んだが、帰宅してYahoo! のメーラ
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