生きる/攝津正
 
二千十年一月二十一日木曜日執筆開始

 その日攝津は午前三時半に目覚めた。少し早過ぎる起床であるが、前日床に就くのが早過ぎたので、丁度良いのだろうと思っている。昨日欠勤してしまったが、今日は出勤出来るだろうと思っている。それが当たり前なのだが、当たり前の事が難しい。
 昨日一昨日と、ほとんど死に掛けていた、と攝津は振り返る。自分は「死」と戯れるうちに「死」のすぐそば迄来ていた。それは危険な遊戯であった。しかし、格好悪くても、ダサくても、「生きよう」、と攝津は思った。
 生きるとは生存する事であり生活する事である。金銭をやり繰りし、生活を回す事である。それをやらなければ、と攝津は思った。両親
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