短縮8/アマメ庵
 
君に電話をかけるのは簡単だ
『8』、『コール』の順にプッシュする
それだけ

いつか 君が好きだと言った8
君と知り合い
業務主任は8から1に出世した

あの頃の二人が
毎日 何を話して
毎日 何を笑いあったのか
わからない

君と過ごした一年間
ぼくの薄っぺらな23年は
語り尽くされてしまったのか

言葉が継げなくなると
煙草を吸わない僕は
溜め息ばかりを吐き出した

液晶画面に浮かぶ8
君の名前
88
近所のタクシー会社が現れる

ぼくの言葉は
もう君の笑顔を取り戻すことができないのか

窓ガラスに
液晶画面が青く照らす僕
笑えよと
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