宇宙の人/
松本 涼
昨日隣街で
宇宙の人に話し掛けられた
こんにちは
と彼は言う
こんにちは
と僕も言う
どこから来たの
と彼は聞く
すぐ近くから
と僕は答える
僕もそうさ
と彼は笑う
彼の声は街の雑音に
途切れがちにしか聞こえなかったけれど
少し掠れた淋しげな声だった
またいつか
と彼は手を振る
またいつか
と僕も手を振る
多分もう二度と
逢うことなんてないんだろうけど
宇宙の人はいつだって
僕のすぐ近くで
淋しがっている
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