ポプラ並木/小川 葉
 
 
 
ポプラ並木があった
ポプラ並木は
ポプラ並木でしかない
そのことを
証明しているかのようだった

ポプラ並木があった
根っこのあたりを
無数の蟻が歩いていた

ポプラ並木があった
無数の枝に
ところどころ
鳥が羽根を休めていた

ポプラ並木があった
並木の下を
何百何千の人々が
通りすぎていった
あるいは何万何億かもしれなかったけど
数よりもはじめに存在があったことさえ
誰も知らずに歩いている

ポプラ並木があった
生まれた時からそんな気がしていた
ある日気がつくと
息子と手をつないで歩いていた
あの時はまだいなかったのに
とでも言いたげに
些細な偶然みたいに
ポプラ並木もそこにあった

退屈な午後
誰かが見ている空想が
時空をこえて
私たちもそのようにして
 
 
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