おひさま病/みい
です
あのとき
虹彩がおひさまを
たしかに一生 とらえているつもりでした
けれども
あやまって
膏肓に
入りこんでしまって もう
治る見込みがないのです
わたしがお風呂から上がり
顔をうずめたバスタオルは
汚物の匂いがしました
かすかに
やはりあのぽかぽかの匂いが
同時に鼻をかすめましたが
どうせそれだって
同じ匂いに変わってしまうのです
「どうしようもない子だね」と、言う
お父さんの口癖を
今、聞くことが
できたら
おひさまの日
わたしはまた
ひゃあひゃあ と
なんでもないようにわらって
ほんとうになんでもなくなりました
炎天下という文字のなかに
はやくとけてしまいますように
ふと
思いついたことが
また膏肓にしみて
馬鹿みたいに重たくなります
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