インモアイ/瓜田タカヤ
モアイ像の愛が初めからこの世の中だけを作り出しているという
陳腐な事実に偉い神さまが言った「ロン!」
その内容なりを本に纏めて売り出そうと思ったら
原稿用紙8枚分になったので、出版社に送った
それは秋にも春にもなっても
なんらかの返事が帰ってくることは無かった。
それでも待っていたが
死ぬまで何らかの返事は無かった。
不規則に明滅する居間の蛍光灯は
ハダカの温度を急激に低下させ
段ボールを折り畳み紐で結ぶ妻を
優しく抱きしめるには十分な理由付けであったのだが
妻は本気で嫌がり、悲鳴を上げだしたので
俺は壁に体当たりして、タバコを吸った
コーヒーカップ
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