目を閉じて、いる/伊織
わたしが
死んでいった日々を
つぎつぎとかぞえる
いくつもの
忘れてきたものは
燃えるごみの日になんの断りもなく捨てられてしまった
脱皮しても
脱皮しても
同じ
(わたくし)
が
手を変え品を変え再生産されるばかりで
何も手に入れることなどできやしない
ああ、今日も
針のむしろの視線ならまだしも
物体としてしか扱われない存在は
羽毛の蒲団をぐるぐるに巻きつけて
左の隅っこに何度もキスをする
かずすくない幸せに
ガンマ補正をかけて
目の前で抱いて見せるのがくるしいのです
あたたかいね
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