アヴェ・マリア/乱太郎
 

   愛読書は「風と共に去りぬ」
   君と一緒に過ごした公園の日向
   微風がめくった頁


午後三時五分

   話ししようか
   トルコ桔梗の花が綺麗だったね
   君の好きな花
   花言葉は「深い思いやり」
   君と一緒に植えた花壇
   いつまでも咲いていると思った


午後六時十三分

   茜色に染め上げた空は
   想い出さえも燃やしてしまうのか
   落日とともに
   伸びゆく影が白い部屋を覆う
   時は止まり



   さようなら
   君 

   眠れ 安らかに


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