ベランダ/けさんぼん
 
この日のために生まれてきた
そう思えて
ならないのです
12月のそらは
くもりひとつなく
あたしを包んでいます
ビルディングだらけの近所は
もう二年も付き合っているというのに
無愛想のまま
でもそれでいいのです
きっとあたしの踏み締めたアスファルトは
あたしの足のサイズくらいは
薄ぼんやりと覚えてくれている
はずですから

この日のために生まれてきた
そう思えて
ならないのです
国道10号線を走る車たちは
今日も
あたしの知らないところへ
だれかを連れて行っている

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