綺麗な町/
山中 烏流
夕暮れの町を潜る
そこは、綺麗な町
雪を踏む音が響く
電柱の影、重なる少女
烏の親子
頭上から影を降らす
右に立つ案内板の文字
「綺麗な単語に溢れた町
それだけの町」
***
咳の音と
それを羨む周りの声
私は旅をしていた
瞬間
それすらも忘れていた
それは自分たちにはないものだ、と
笑う少女の声で
立てられた案内板の前には
たくさんの人が現れた
綺麗に磨かれた虫眼鏡と
きらきらに光る、たくさんの瞳と
綺麗な単語で作られた
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