秘密荘厳大学文学部/済谷川蛍
彼女はあっけなく自習室から去って行った。私は何だか虚しさを感じた。
四
次の日、Y's for menの服を着て登校した。
2講時が終わって食堂へ行く。彼女がいるかどうかの確認はせず、粛々とおかずをトレイに並べ、お茶を注いで一番後ろの席へ座った。期待と不安を膨らませて喉が詰まったが彼女は来なかった。残念に思いながら立ちあがったとき、声がかかった。
「あの、秋山さん」
女の子だった。しかし栂尾さんではなく、別な女の子だ。
「栂尾さんが図書館に来てほしいそうです。レポートを手伝ってほしいと」
「そうですか」
彼女は自分の席に去って行った。その子の座った席には他に
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