吹くな東風/智哉
優美で気高い花を見つけた
手は届かないけど毎日眺めていたくて
ぼくは足繁く通い観察し続けた
言葉通り変な虫がつかないよう見張っていた
ある日花が東からの風には弱いことを知った
真っすぐな茎がもたれ掛かるのを見た
ぼくは花を守りたいと初めて思った
触れることさえ無かった遠い存在
『守る』だなんて大それた考え
実現不可能に思えるぼくの使命
でも守りたいそう思って
今も両手をいっぱいに広げ
東からの風をさえぎってる
もしもまた風の強さに折れそうな時には
先にぼくの手で折ってしまってあげる
そうすればずっと風に怯えなくていい
誰よりも愛しいぼくの花
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