受賞者発表(2)/相田 九龍
 
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「つめたくひかる、1-江國香織『すみれの花の砂糖づけ』」ことこ
 詩集中にそう頻繁に使用されているわけではない、「つめたさ」と「ひんやり」という言葉の使用法に着目して江國詩を読み解こうとした作者の着眼点と、探偵的な追究のプロセスには一読者として納得させられもした。しかし、意地悪く言えばこの批評文は一点突破的な単調さがあるばかりで、当然作品が抱え込んでいる多面性は欠落しており、皮相的だとも言える。さらに作者の、江國を扱った2-「すいかの匂い」や3-「表記」も同一手法で小説を扱っており、わたしがよく知らない江國ワールドを貫きはしているのだろうが串刺し的で、全体を捉える批評にはなりえ
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