赤の林檎/まどろむ海月
 






人間には
なあ〜んにも
わかっていない


 赤が赤であることも
 赤とは何であるかも

 自分が何もわかっていないことも
 何がわかっているのかも






林檎が秋の中で
ぽんやりと幸せそうに
生(な)っている


 自分が赤いことも
 なぜ赤いのかも
 なあ〜んにもわからないままで





なあ〜んにもわからないまま
赤く熟れていく林檎

なあ〜んにもわからないまま
人に振り回されている人間



 そのすべてが不思議な
 空の出来事






すべての存在は 空の子どもです

すべての生きものは 光の子どもです












戻る   Point(7)