HOME/高杉芹香
 




なんという空気を持つ人なんだ。



穏やかだ。本当に。



ご飯を食べて、しばらく車を走らせて。

他愛なく近況を話し合った。



またあたしの自宅まで送って来た彼は

何の違和感もなくあたしにキスをした。

何の違和感もなくあたしを抱いた。

愛おしそうにあたしを抱いた。



慣れた体に安心する。

髪と肌を撫でる彼の優しい指に安心した。




しばらく、あたしは彼以外を愛していて。

その間、彼に会っても抱かれないようにしていたけれど。

彼はあたしから完全に離れていくことはなかった。



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