梅花観賞/朧月
梅の花がふくらんだよ
家族みんなでみにいった
あの梅の花が
山あり谷ありと いうほどでもない傾斜なのに
つえをついたおじいちゃんやおばあちゃんを
誘導する母や父には 救助隊みたいな緊張があった
おどけて いったりきたりした
私は ときおり思った
家族みたいじゃんって
どんな過去や どんないさかいが
あった昨日じゃなくて
足元だけに注意する 両親をすきになりそうだった
昼食は なんにしますかと
母の声に空をみあげ
なぜか つんとする鼻をすすった
梅の花はまた
もうすぐ 咲くのだろうと思う
そろわない たったひとりの歩でも
みにゆこうか
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