電解質イエロー、あるいは触媒世界/真島正人
 
放課後の訓練室で
暇をつぶしていた僕たちを
待ち受けていたものは
熱放射だった
侮ってはいけない
強い熱は人を焦がす
ほら、僕の腕にはシミがついている



なす術もなく暮れなずむ
淡い光を受け止め
僕の幸福は静止画像のようだ



僕という人間は
素通りされていく
僕は日々透明になり
僕は僕独自の波を持つが
この波が他者を浸透することはない
僕の包囲網はうすれてしまった
僕の肌は敏感ではない
腫れぼたく
ごわごわとし
冷え切っている
僕は他の波の高さ低さを案じながら
それを肌に感じることはない



懸念材料という名前の町なみが
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