少しだけ不思議/クローバー
回転する音がしている
空腹からは逃げられない、生きていること
そして、自由ではないこと、を知らせる音
猫型ロボットは、おなかに、宇宙を張り付けて
いつだって空っぽで、そりゃ、空腹だろう
空飛べるなら、飛行機なんて作らなくてよかった
どこでも行けるなら、天国の、3丁目まで。
膨張を続ける宇宙の、端の壁に手を突いて、
先にここへ戻ってきた方が勝ち。
ようい、どん。
理想の家
というタイトルの絵には
母になろうとする女性が輪切りになって描かれている
矢印が引っ張ってある
ME!
女性のおなかの中で
逆さまに、丸まっている胎児を指している。
空腹でないことは
少しだけ不思議、と言いたそうに首をかしげる。
宇宙の端には、まだ、手を突いていない
戻ってはこれないことを知らない
まだ、僕ではない、誰かだった話。
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