裏と表は相、反して/窓枠
表に隠し事を置いての帰宅
家庭内では夫婦みたいなものを演じて
翌朝のベッドのシーツだけが
不自然に整っている
*
夕刻の歓楽街
会社の上司に連れ添って
男は飲めもしない晩酌に付き合えば
ここだけの秘め事と
ほろ苦さを飲み干す
顔も見えない出会い系
ひたすら待つ
控え室ではわくわくも感じられず
名前すら知らない男達と
連日連夜の初体験を味わう女
*
家の前で溜め息
待ち焦がれた新居とやらは
もう住み慣れてしまった
夫を待つ食事は
なんて味気ないものだろうと
静まったテーブルの片隅では
印鑑を待つ紙切れ
そこに矛盾だけを残して
あなた
あなた
わたしはさみしいです
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