窓、全開/小川 葉
 
 
 
夢の世界の
もう一人の妻に会う
隣で眠る
妻に見つからないように

遊園地だろうか
長い列に並んでいる
まだ乗り物に乗れそうもないので
キスしながら
いつまでも待っている

妻が寝返りを打つ
そのたびに夢の世界は軋み
君の綺麗な顔が歪んでしまう

乗り物には乗れたのだろうか
朝、妻が窓を全開にして
弁当を忘れた僕を呼び止める

呼び止められた記憶が
夢にもあった気がするけれど
そればかりが気がかりで
いつも忘れてしまう

きっと君に
もう会うことはない
 
 
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