愛の贈り物/ありす
風景はそのまんま描いたはずなのに。
短い足を組んで考えて
黒い絵の具をチューブから出して
夕日に黒く小さく付け足した
おじいさんとおばあさんが
手を繋いで歩いているシルエット
足元に咲いていたピンクの花を数本取って
束ねた花を長い草でりぼんに結んだ
満足そうな笑みを浮かべて
よたよたしながらも足早に
おばあさんの居る病院へ向かった
そーっとドアを開いてみると
おばあさんは静かにに眠っていた
花瓶に水を注いで摘んできた花を挿した
描いた絵を壁に立てかけて
おばあさんの手を優しく握り
おじいさんは病室を立ち去った
ドアの音に気づいたのか
おばあさんは目を開けて
絵と花に気が付いた
誰からとも分からないのに
懐かしそうに小さく笑った
そしてまた眠りについた
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