飛行機雲を保存する方法/
瀬崎 虎彦
気絶しそうな海が春の鼻先で
壊れたり生まれたり寝返りを打ったりしていた
レイン・ツリーと何度も口にしながら
飛行機雲を保存する方法を考えた
音が消えると振動がなくなるので
悲しみは無意味に滴り落ちた
屋根から見ても地上から見ても
水滴はつねに完全なものだった
旗が風に揺れていた
背いては意義を求め
図書館の隅で眠った
風に旗が揺れていた
背骨の隆起を数えて
雨の前の空を思った
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