竜の牙/いとう
誉も安泰なのだ。そう言い
聞かせるように葬列は続く。ヒューネラル、
プロセッション。その列はすでに悪しき予兆
を含み、誰もが「呪い」という言葉を飲み込
む。「我々は呪われたのだ。」誰もが言わな
いその言葉は、小さな渦を巻きながら列を包
み、重く、のしかかる。竜が獲れたのだ。こ
れで数十年は村の食料だけでなく地位も名誉
も安泰なのだ。安泰なのだ、と。
果たして、ウマサの死が予兆に過ぎなかった
ことを葬列は知る。狩り場の見える小高い丘
で長は立ちすくみ、列はそこから一歩も動け
ない。竜の周囲には無数の牙が突き刺さり、
残っていた男たちはすべて死に絶えている。
獣たちは群
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