オルゴール/ありす
彼女の部屋に入った
棚の上には
僕のあげたオルゴールがある
少し錆びていたけれど
オルゴールのネジを回した
途中 音を飛ばしてしまうこともあったけれど
綺麗な音楽を奏でている
野原に青く澄んだ空
遠くで白いワンピース姿の彼女が
大きく手を振っている
僕は走って彼女の元へ行き
抱きつこうと腕を伸ばした
オルゴールは止まった
それと同時に今までの風景も
彼女の姿も消えてしまった
もう一度ネジを回そうとしたが
びくともしなかった
そうだ もう彼女はいないのだ
こぼれ落ちそうな涙をこらえて
オルゴールを
そっと元の位置へ戻した
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