吐雪/mizu K
 
でもそれは、
あ、という言葉ともつぶやきとも知れない
といきするしろいすいじょうきの
連結に
わたしは路上をしゅぽしゅぽと
滑走する

屋根つもる
雪たちに挨拶する
敬礼をびしっとかえす結晶たちに
これはこれはと
恐縮する
どうもどうもと
腰引けるやいなや

わたしに続いてきた足あとが
てんでに歩きだして
わたしの歩いてきたあとには
なにもない、なにもない
ぞっとするほど遠くまで
それはそれは
ほそくてほそくてたよりない
あやうい道がのびていて

空にはぽんぽんと小さな雲が
あれはわたしがはきだしたいき、だろうか
遠くからうなりをあげて
たちあがる音に
なんだろうと怯えていると
避雷針は持ってきたか、と
耳もとがささやいて
きえた

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