『ぼくは旅人』/Leaf
 
与しないって心に説き伏せて
背中に相対し泣き虫ウイルスに感染したような
腫れぼったい言い方で空に叫んだ

「ぼくは旅人だぁ」

虚ろな兎眼にはならんと踏ん張った意固地で吹雪が霞んで見えた


きみの淡雪が腕を掴む温もりの左側に
撓んだ記憶の溶け方を狂わせる


やはり、傍に居て
互いに其々が満ちては溢れ
互いに其々が乾いたら濡らし
互いに其々が冷めたら暖めるのなら


あの時に戻らない方法で
あの時を赦せるように
今の自分をこれ程、悲しむこともないだろう


抗えない何かが
境界線の機微を知り
積もる雪の遺言を
読み耽れば
少しだけなら
癒されるだろうね


支柱のない屋根は
雪の重みに耐え難く忍び無い
儚く埋もれ去ったあの日々にさよならを


そして、旅立つんだ


ぼくは旅人





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