定刻/
小川 葉
列車らしきものが
ホームに入る
ドアらしきものが開き
人らしきものが
一人ずつ順番に乗る
定刻が訪れ
笛らしきものが鳴り響き
ゆっくり速度を上げながら
線路らしきものの上を
目的地らしきものを目指して走っていく
らしきもの、は
そこで終わっている
私たち、らしきものは
それを命と呼ぶ
死と呼ぶにはまだ知らなすぎる
少しあたたかい場所で
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